会長挨拶

第64回日本小児血液・がん学会学術集会

会長 越永 従道

(日本大学医学部外科学系小児外科分野 主任教授)

越永会長

第64回日本小児血液・がん学会学術集会を担当させていただくことになりました。伝統ある本学会学術集会をお世話させていただくことは、教室員一同とともに大変光栄に思っております。本学術集会では、例年通り第20回日本小児がん看護学会学術集会、第27回がんの子どもを守る会公開シンポジウムも共同で開催することになっております。アカデミックな最新医学の知見とともに患者さんとそのご家族の支援にも焦点をあて、これからの小児がん医療や小児血液疾患を取り巻く様々な内容を討議いたします。このたび私たちは、「小児がんの子どもと家族を支える和」という共通のテーマを掲げることにいたしました。

小児・AYA(思春期・若年成人)世代のがんは、わが国の第3期がん対策推進基本計画において「がん医療の充実」の分野別施策の目標として挙げられ、さらにこれを支える基盤の整備としてがんに対する研究・教育が実践されています。小児がんの領域においても、がんゲノム医療をはじめ、分子標的治療薬や免疫療法の研究や開発がめざましく進歩してきています。特にがん遺伝子パネル検査が保険収載されてから、個別化治療の実践も始まっています。これら小児がん治療の進歩は、科学研究の基礎的、臨床的研究を討議する場から生まれていきます。小児がんに特化した国内最大の本学会学術集会の役割もまさにここにあります。

また、がん治療を総合的に推進するためには、研究者・医療従事者だけではなく小児がんの子どもたちと家族を支える患者団体や支援団体との連携や教育、生活の支援が必要なことはいうまでもありません。小児がんの子どもたちを支える和が実現することによってはじめて小児がんを乗り越えてこられた経験者のこれからの人生も支えることができると考えられます。

長期にわたる闘病生活を送る小児がんの子どもたちと家族の幸せのために日夜奮闘努力する私たちの和にできるだけ多くの方々に参加していただくことが、私たちの夢です。この「小児がんの子どもと家族を支える和」に加わっていただけますと幸甚に存じます。

みなさま方のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

第20回日本小児がん看護学会学術集会

会長 上別府 圭子

(国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科家族看護学領域 教授
・特定非営利法人 日本小児がん看護学会 理事長)

上別府会長

第20回日本小児がん看護学会学術集会を、第64回日本小児血液・がん学会(JSPHO)学術集会の越永従道会長、第27回がんの子どもを守る会公開シンポジウムの山下公輔理事長とともに担当させていただきます。日本小児がん看護学会は2003年に研究会として発足し、2009年に学会に発展しました。日本小児がん看護学会の第3代理事長として、第20回学術集会を担当させていただくことを、たいへん光栄に存じます。学会を築いてこられた先輩方や、新旧理事をはじめたくさんのメンバーの応援をいただいて実現しましたことを、心より感謝申し上げます。

魅力的なプログラムをふんだんに用意させていただきました。リビングレジェンド特別講演では初代理事長の梶山祥子先生、第2代理事長の内田雅代先生に、学会ができるまでの歩みや「小児がん看護ケアガイドライン」の歩みをお話しいただきます。異分野融合特別講演では日本のPTG研究の第一人者である開浩一先生に「トラウマから成長する可能性 Posttraumatic growth(PTG)について」お話しいただくことになりました。看護教育講演では、家族をテーマに取り上げて、筆者及び入院児の家族のための宿泊施設を日本で初めて立ち上げた江口八千代様に、研究や実践を通して明らかになった家族の支援ニーズについてお話しいただきます/お話しする予定です。また当会初の国際セミナーでは、「死の近い子どもたちとのコミュニケ―ション」をテーマとしてとりあげ、第一人者であるMyra Bluebond-Langner 先生にご講演をお願いしました。

シンポジウムは二学会合同シンポジウムを入れて3つご用意しました。どのシンポジウムも、本学術集会共通のテーマである「小児がんの子どもと家族を支える和」に沿ったものとなっています。一つには「成人移行支援」をとりあげました。タイトルに「パートナーシップに基づく」とあるように、小児医療、成人医療、教育、そして小児がん経験者のそれぞれの立場から語っていただきます。二学会合同シンポジウムは、JSPHOの越永従道会長のご専門である外科系に焦点を当てて、「外科療法におけるチーム医療」ということで、理学療法士を含む異なる立場の医療者にご登壇いただきます。

私たちの学会では、全国どこの病院でも質のよい看護を提供できるように、小児がん看護の研修システムを構築し、日本小児がん看護学会認定小児がん看護師(Pediatric Oncology Nurse: 愛称PON)の養成を始めました。2021年3月にPONの1期生を輩出し、2期生を併せて未だ28名ではありますが、全国で活躍を始めています。もう一つのシンポジウムでは、第4期がん対策推進基本計画を準備中の厚生労働省の上野琢史先生、小児がん中央機関の松本公一先生、親の会の方、PONの方にご登壇をお願いしました。当会認定委員長より認定制度を紹介させていただいた上で、皆さまから第4期を見据えて小児がん看護への期待を語っていただきます。

この紙面では紹介しきれない一般演題や委員会企画もございます。学会の20年間をまとめたパネルも展示しています。JSPHOの先生方にもたくさんのご協力をいただきました。共に学びあう3日間が、ひとりひとりの実践に変化をもたらし、子どもさんを含めたご家族の笑顔につながりますように。

第27回がんの子どもを守る会公開シンポジウム

理事長 山下 公輔

(公益財団法人 がんの子どもを守る会)

山下理事長

第27回公益財団法人がんの子どもを守る会公開シンポジウムの開催にあたって

長年に亘り、「日本小児血液・がん学会学術集会」並びに「日本小児がん看護学会学術集会」と共に開催させていただいております、公益財団法人がんの子どもを守る会公開シンポジウムも本年で第27回となります。

一昨年、昨年と新型コロナウイルス感染拡大のためWeb開催となってしまいました両学会学術集会も、本年は待望の対面集会としての開催が決定し、がんの子どもを守る会が企画し三団体共催とさせていただいている公開シンポジウムも、2022年11月26日(土)に東京の虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催の運びとなりました。久方振りに皆様と直に対話させていただける環境で開催できることに、大きな喜びを感じております。

1968年の創立以来、小児がん患児・家族支援を続けてまいりました当会にとって、医療界の方々のご支援を受けつつ連携をさせていただくことは活動の柱であり、中でも本公開シンポジウムを含めた学術集会の場での催しは、小児がん医療界と患児・家族の連携の象徴と位置づけられるものと考えております。

本年度の公開シンポジウムは、「小児がんを経験して-それぞれの思いから-」のタイトルで、両学術集会会長の越永先生と上別府先生に共同座長をお願いし、小児がん経験者5人を演者に迎えて開催いたします。今回は、座長の両先生に全体のリードと総括をお願いしつつ、具体的なディスカッションや進行は参加する小児がん経験者自らが進めるという形式をとることを計画しております。

小児がんが治る病気になりつつある時代にあって、増え続ける小児がん経験者への支援が近年の当会の中心的な課題となりつつある現在、経験者自身を中心に置いてこの公開シンポジウムを実施することで、これからの経験者支援を新たな視点から俯瞰する機会になればと期待しております。

また本年は、例年公開シンポジウムと共に会期中に開催しております、絵画展、チャリティーイベントその他の催し物も、本来の形で開催させていただきます。

当会が、こうして学会学術集会の場で公開シンポジウムをはじめとしたプログラムを継続的に開催することができますのも、ひとえに両学会をはじめ、多くのご支援者の皆さまの長年のご指導・ご鞭撻の賜物と考えております。この場をお借りして御礼を申し上げると共に、公開シンポジウム、その他のプログラムへの皆様のご参加を心よりお待ちしております。